小さなあいつと大きなあたし。
「や、やっほー。どうしたの?」
「つまんないから遊びにきただけー」
「あそこ暇そうだよね…うん…」
鮎美の席の周りは全員男子で話し相手がいないから暇なのも納得する。
「2人で何の話してたのー?」
「べ、別に何も話してないよっ」
「そっかー。あのさー」
鮎美と話していると小鳥遊くんが沼田に駆け寄ってきた。
「そこのちびたんっ!」
「えっ、ちびたんって…俺?」
「そう君!名前は?」
「ちっちゃくねぇし…俺は沼田春樹。えっと…小鳥遊郁斗だっけ?」
「おっ!覚えてくれたのか〜ちびたん。嬉しいなぁ〜。仲良くしよーぜ!」
小鳥遊くんと沼田が話始めちゃった…。
入れないなぁ。
結局聞きたかったことも聞けなかったし。
でもあの動揺ぶりは…。
沼田はきっと雪ちゃんのことが好きだ。
まぁ雪ちゃん可愛いからわかるけど…。
実は雪ちゃんって全くと言っていいほど男に興味がない。
美人でスタイル良くて、中学の3年間で10人も告白されてる。
でも雪ちゃんはピアノ一筋で男よりもピアノ優先。
だからなんか沼田が哀れに思えるわぁ…。
「みーずほー?聞いてた?」
「あぁ…ごめんっ、ボーッとしてた」
「瑞穂って沼田が好きなのー?」
「えっ…はぁ!?」
な、何でそうなる!?!?
「私があんな小さいの好きになるわけな…っ」
「からかっただけ〜。瑞穂面白い」
「もぉ…鮎美ったら…」
「そんなことより、薫ちゃんが乙女オーラ全開なんだけどなんでー?」
「わっ…本当だ…」
すごいキラキラな眼差しで沼田を見つめる薫ちゃん。
「あれって…」
「恋だね〜青春だね〜」
「あぁ〜やっぱり?」
「さっきの委員会決めが原因だよね」
「だろうね」
薫ちゃんを観察していると何か思いついたのかはたっと我に返った。
「ねぇ瑞穂!鮎美!」
「どうした〜」