小さなあいつと大きなあたし。
チャイムがなる寸前で教室に入る。
「はぁ…間に合ったな」
「ちょっと!腕!!」
「あぁ?腕?」
「痛いんだけど!!」
思いきり腕を振り払い、黒板に向かう。
黒板に貼ってある紙には一言【自由席】。
「自由席か…」
「うわ…自由席かよ」
遅れて着いた小学生も同じことを漏らす。
普通なら嬉しいはずの自由席も今の私には全然嬉しくない。
振り向いて空いてる席を探す。
「…最悪…」
教室に着いたのは私と小学生が最後のようで、
空いてるのは教室のど真ん中の2つだけ。
小学生とお隣さん確定だ。
あんなちびっこの顔なんかもう見たくないよ…
まぁ同じクラスだから見なきゃいけないんだろうけどさ。
私的には出来るだけ見る回数を減らしたい…。
どうしたら減らせるか…
「おい、井川。早く席につけ」
我に返ると後ろに先生がいる。
「わっ、ごめんなさいっ」
さっきまで隣にいたはずの小学生が何食わぬ顔で座っている。
仕方ない…諦めるか…。
とぼとぼと席に向かい、隣に座っている小学生の顔を見る。
「はぁあ〜…」
「人の顔見ておもっくそ溜め息つくな。早く座れよ」
なんでこんな小さいやつの隣に座らなきゃいけないの…。
大きいの目立つじゃん…。
新学期始まって早々最悪すぎるよぉ…。
雪ちゃぁ〜ん…っ。
「今日からこのクラスの担任になる…」
周りは知ってる人誰もいないし、こんなんで友達できるのかな…。