Bad Bye
夕暮れの太陽に染まりながらも降る雨。
家へとゆっくり足を進める。
綺麗な赤だ。
でも、僕は......
もっと綺麗な赤を持っているんだ。
 
 
小さな一軒家。
裕福とは言い難いが、人並みの暮らしは出来ていた。
 
......と思いこむことにしている。
人間的、感情的にはかなりの貧民と言っても過言ではないだろう。
 
 父は典型的な暴力をふるう人間。
 母は典型的な暴力を受ける人間。
 僕は典型的な暴力を見ると同時に、受ける人間。
 
どこにでもあるような、そんな家庭。
それが憧れだった。
 
家に帰れば、酒におぼれた父が待つ。
母は僕にかまう余裕などない。
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