Bad Bye
幼い頃から、親に何かしてもらった記憶などないに等しい。
 
遊んだ事もなければ、欲しいものを買ってもらった事もない。
 
母は僕を気遣い、優しくはしてくれた。
だが、母が稼ぐ金は全て酒へと変わる。
ある日、母は倒れ、そのまま帰らぬ人となった。
 
それから、僕はずっと父を憎んでいる。
きっと父が苦労させすぎたせいで死んだのだろうと。

そう思っている。
 
家に着いた。
そっとドアを開ける。
今は誰もいないようだ。
どうせ、飲み仲間の所に行っているんだろう。
 
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