だって君が好きだから。
「違ぇし!…"アイツ"んとこだよ。
昨日の新幹線代で今月ピンチだわ~
だから優梨今日ジュースおごってな?」
ほら…やっぱり"アイツ"の所だ。
日曜日になるといつも
東京からわざわざ大阪まで出て
"アイツ"に会いにいく。
どれだけ"アイツ"を好きなのか
痛いほどに伝わってくる。
「ヤダよ〜だ!
なんであたしがジュース
おごんなきゃダメなのよ。」
「いいじゃんケチ。
バイト代入ったらクレープ
おごってやるから!」
「本当に!?じゃぁいいよ♪
今日は好きなもの
おごってあげる!」
あたしはクレープに
テンションがあがって言ってしまった。
「まじで!?じゃぁ、フルーツオーレと
メロンパンと焼きそばパンと
プリンとあっ!コーヒーと…」
「ちょっと待って?
どれだけたべるつもり?」
「はは、俺大食いだから!」
大きく口を開けて笑う修。
あたしの大好きな笑顔。
ずっとこの笑顔を近くで
見てたい。
修が"アイツ"って言うたびに
切なくなってあたしも修の
"アイツ"になりたい。
なんて、思うけど
今の関係が崩れるのだけは嫌。
だから、あたしは修に
自分の気持ちを伝えないの。