だって君が好きだから。



「違ぇし!…"アイツ"んとこだよ。
昨日の新幹線代で今月ピンチだわ~
だから優梨今日ジュースおごってな?」




ほら…やっぱり"アイツ"の所だ。




日曜日になるといつも
東京からわざわざ大阪まで出て
"アイツ"に会いにいく。





どれだけ"アイツ"を好きなのか
痛いほどに伝わってくる。





「ヤダよ〜だ!
なんであたしがジュース
おごんなきゃダメなのよ。」





「いいじゃんケチ。
バイト代入ったらクレープ
おごってやるから!」





「本当に!?じゃぁいいよ♪
今日は好きなもの
おごってあげる!」




あたしはクレープに
テンションがあがって言ってしまった。




「まじで!?じゃぁ、フルーツオーレと
メロンパンと焼きそばパンと
プリンとあっ!コーヒーと…」





「ちょっと待って?
どれだけたべるつもり?」




「はは、俺大食いだから!」




大きく口を開けて笑う修。
あたしの大好きな笑顔。




ずっとこの笑顔を近くで
見てたい。




修が"アイツ"って言うたびに
切なくなってあたしも修の
"アイツ"になりたい。




なんて、思うけど
今の関係が崩れるのだけは嫌。




だから、あたしは修に
自分の気持ちを伝えないの。





< 2 / 8 >

この作品をシェア

pagetop