裏切りの足音
本家の邸を見下ろせる山の上に、リウはいた。

車椅子に座りながら、騒ぎ出した邸の様子を無表情で見下ろしていた。

「―で? お前は何と引き換えに、本家の情報を売っていたんだ?」

背後からマカに声をかけられ、リウは笑顔で振り返った。

「僕を本家から出してもらうことを、だよ」

その言葉に、マカの顔がよりいっそう険しくなる。

「お前の能力を使い、カズサを操り、情報を洩らした結果がその望みか? 随分と安いものだな」

「普通の血族ならば、難しい問題でもないかもね。でも僕にはホラ、ハンデがあるから」

そう言ってリウは自分の両足を叩き、そしてゆっくりと立ち上がった。

「なっ!?」

「―まっ、本当の対価はこっちの方なんだけどね」
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