裏切りの足音
リウだって、逃げられるものなら逃げただろう。

しかし彼にはその術が無かった。

ただ黙って笑顔で聞いているしかなかったのだ。

それも限界を迎えていたんだろう。

「でも何で僕だって気付いたの?」

「…お前がわざわざ裏切り者がカズサじゃないかと言いに来た時には、お前に不信感を抱いていたさ」

「ありゃりゃ。ちょっと動き過ぎたか」

リウは本家のことをあまり好きではない。

なのにあえて本家のことを言いに来るなんて、おかしいと思った。

それであの時、リウの両親に連絡をするフリをして、ヒミカに電話をした。

リウの身辺調査をするように、と。

すると最近、リウがカズサと一緒にいるところを、多く目撃されていることを知った。

そして極めつけはリウの能力だった。

リウの力は、『操作』。
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