裏切りの足音
「だけどそれはしょうがなかったことでしょう? いつまでも負い目に思ってちゃ、そりゃ逃げ出したくなるわね」

「本当の愛情かも、疑わしく思っちゃうものね」

しんみりしていた二人だが、不意に二つのケータイの着信音が響いた。

「あっ、キシからだ」

「こっちはアオイからだわ」

二人は顔を見合わせ、深くため息をついた。

「ウチの血族は男運、ないわね」

「言わないでよ。かなり気にしているんだから」

二人はブツブツ言いながらも、電話を受けた。
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