裏切りの足音
一方、両親がいる部屋に向かうマカの足は重かった。

「はぁ…。また厄介な存在がマノンの元へ行ってしまったな」

そう言いつつも、心の中でどこか納得している自分がいた。

二人とも生まれ付き、欠けた体を持っていた。

その補いたいという気持ちが昂り、二人は友となったのだろう。

もし同属でなければ―?

「いや、その考えは意味がない」

同属でなければ、二人は出会うことがなかった。

そして力が無ければ、暴走することもなかった。

「そして私には止める術がない、か…」

マカは不完全であることをイヤだとは思わない。

けれどその気持ちはあの二人には伝わらないだろう。

不完全だからこそ、愛しいと思う気持ちが生まれることを…。
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