俺と貴女を繋ぐ場所
その重い扉を開けると、エントランスの向こうに何やら独り言を言って、図書館入口のドアに-開館-の札を掛けている小日向の後ろ姿が見えた。
「…るんだ。」
俺には語尾の方しか聞こえなかったが、なんだか少し落ち込んでいるようにも見える。
「図書委員、もう入っていい?」
俺は思い切って声をかけた。
「へ?」
彼女は少し間抜けな声を出して俺の方に振り返った。
「ぁ…、どうぞ。」
この静かな旧館でさえも、聞き取れるか取れないかくらいの消えてしまいそうな程小さな声で彼女は応え、目を泳がせ俯いてしまった。
(やっぱり少し様子がおかしいな…?)
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