俺と貴女を繋ぐ場所

「ぇ？？」
どうやら小日向には聞こえなかったらしい。
それでも、俺はつい本音が出た事が恥ずかしくなってしまった。
顔が熱い。きっとまた顔が真っ赤に違いない。


「ど、どうしたの？松本君…。大丈夫？」
どうやら俺は小日向から見ても分かる程顔が赤くなってるらしい。


「悪い、何でもない。」
（こんな姿、小日向に見られたくねぇ…。）

俺は昨日借りた本を小日向に突き付け、昨日と同じ明治･大正の文豪コーナーに行き、また１冊の本を素早く手にとり、小日向の方に歩いて行った。


「これ、借りる。」

俺は小日向に無様な様をみせてしまった自分が悔しくて、つい小日向にも強い口調で話してしまった。


「はぃ…。貸出の手続きをするので、少しお待ち下さい…。」

小日向は手続きをしている最中、泣きそうな顔をした。

（何やってんだ、俺…。）


「出来ました…。返却期限は、２週間です。ご利用、あ…」

小日向が言い終わらないうちに俺は本を持って旧館を出て行った。
自分が何をしたいのか、自分の気持ちの整理がつかず、いてもたっても居られず小日向の前から逃げたくなった。


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