俺と貴女を繋ぐ場所



「良かった。…よろしくな。」

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

小日向が恥ずかしそうに顔を伏せた時、中庭の電灯が点いたのに気づいた。
学園の街灯はセンサーで暗さを察知して、薄暗くなると点くシステムになっているのだ。

「あ、やべっ!部活忘れてた。」

俺の一言で、小日向は顔を上げ辺りを見回した。
「暗くなってきちゃいましたね…。あ、部活…行って…?」

「あ~…、いい。今日はサボる。」
(今日はまだ一緒に居たい。)
ふと、そう思った。


「え?でも、」

「いいんだよ!暗くなってきたし、送る。」
(まだ離れなくない。…俺こいつの事マジ好きだわ。)

離れなくない、一緒に居たい、どうしようもない気持ちになった。


こうして俺たちの距離は、信じられない程縮まった。


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