俺と貴女を繋ぐ場所
「…ごめん」
俺はいたたまれなくなって、目を伏せて言った。
「ちがうの!謝るのは松本君じゃないの、私なの…」
そう言ってまた泣き出しそうな彼女を見て心苦しくなった。
「ま、後はお二人で!じゃあ私、教室行くわ~。がんばれ智花!」
そう言うと、成澤は行ってしまった。
「あ、英梨………」
俺と二人きりにされて困っている智花。
このままだと、早速別れの危機かもしれないな。
昨日の告白に続き、イチかバチかの質問をしてみた。
「俺の事、嫌いになった?」
俺の言葉を聞いて驚いた表情の智花。
「なんで?違うよ?嫌いになんてなる訳ない!むしろ、私の方が松本君に嫌われちゃったかもって…」
(なんだよそれ。俺がお前を嫌いになる筈ないだろ)
「はぁ~っ」
俺は深く息を吐きながら、その場にしゃがみ込んだ。
一気に押し寄せる脱力感。
「良かった~。1日で振られると思った。」
「え?、え?」
混乱状態の智花。
「帰り道、何回か話しかけても返事してもらえなかったし」
「え?!話しかけてくれてたの?」
「まぁ。でも俯いたままだったし、反応無かったから。」
「ご、ごめんなさい!私、ずっと何喋ったらいいか考えてて…考え事するといつも周りの事見えなくなちゃって…!」
(取り越し苦労っつーかなんつーか…)
「そっか」
「本当にごめんなさい!」
そう必死に謝る智花がとても愛おしく思えた。