俺と貴女を繋ぐ場所


「…ごめん」

俺はいたたまれなくなって、目を伏せて言った。


「ちがうの!謝るのは松本君じゃないの、私なの…」
そう言ってまた泣き出しそうな彼女を見て心苦しくなった。

「ま、後はお二人で!じゃあ私、教室行くわ~。がんばれ智花!」

そう言うと、成澤は行ってしまった。

「あ、英梨………」
俺と二人きりにされて困っている智花。


このままだと、早速別れの危機かもしれないな。
昨日の告白に続き、イチかバチかの質問をしてみた。

「俺の事、嫌いになった?」

俺の言葉を聞いて驚いた表情の智花。

「なんで?違うよ?嫌いになんてなる訳ない!むしろ、私の方が松本君に嫌われちゃったかもって…」

(なんだよそれ。俺がお前を嫌いになる筈ないだろ)
「はぁ~っ」

俺は深く息を吐きながら、その場にしゃがみ込んだ。
一気に押し寄せる脱力感。

「良かった~。1日で振られると思った。」

「え?、え?」

混乱状態の智花。

「帰り道、何回か話しかけても返事してもらえなかったし」

「え?!話しかけてくれてたの?」

「まぁ。でも俯いたままだったし、反応無かったから。」

「ご、ごめんなさい!私、ずっと何喋ったらいいか考えてて…考え事するといつも周りの事見えなくなちゃって…!」

(取り越し苦労っつーかなんつーか…)
「そっか」

「本当にごめんなさい!」

そう必死に謝る智花がとても愛おしく思えた。




< 40 / 54 >

この作品をシェア

pagetop