俺と貴女を繋ぐ場所


「智花…?」

「………っ、」

「顔上げて?」

俺がそう言うと智花は小さく首を横に振った。

「智花」

俺は智花の顔を覗き込むようにし、名前を呼び、

頬にそっと手を添えると、智花の体はビクッと一瞬強張った。

少し顔を上げて、俺の方を見てくれた智花と目が合った。

眉は困ったように思いっきり八の字で、涙で潤んだ瞳で上目使い。

(頼むからそんなに煽らないでくれ)

「わ、わたしも…すき…」

今にも消えそうなほど小さく細い声でそう言われると、理性が飛びそうになった。

がっついて智花を怖がらせないように、徐々に顔を近づけ、唇を合わせた。

「ふっ…、んん…」

智花は慣れていないのか、唇が触れると息を止めた。

ほんの数秒のキス。
唇を離し目を開けると、智花と目が合った。

「ま、まつもと、く、んん…!」

潤んだ目をして俺を呼ぶ智花に、もう1度キスをした。

今度は、長くて…角度を変えながら啄ばむように。

智花は限界を伝えるように、俺の制服をギュッと掴んだのを感じ、最後に軽くキスをして唇を離した。

「…ん、はぁっ、はぁ……」

唇を離すと、呼吸を乱した智花はまた俯いてしまった。

「智花、好きだよ」

「うん…私も」
智花は俯きながら言った。



もう一度、今度は優しく智花を抱きしめると、予鈴が鳴った。




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