俺と貴女を繋ぐ場所
「はっ、はぁ、はぁ…」
「よ。」
「ご、ごめ…遅れ…ちゃった。はぁ…はぁ……」
「いいよ。珍しいじゃん、智花が遅れるなんて」
「調理自習だったの…。今、鍵開けるね」
智花はそう言うと旧館の鍵を開け、“開館中”のプレートを掛けた。
俺の横を智花が通ると、ほのかに甘い匂いがした。
貸出カウンターの椅子に座って弁当を広げる智花。
「8組は調理実習なに作った?」
「マフィンとスコーン…あの、よかったら…食べて、くれる?」
「マジ?!いいの?」
「…っ、……これ…」
おずおずと調理実習で作ったものを俺に渡してくれた。
「マジ嬉しい!食っていい?」
「…う、うん…」
「うん、ウマイ!」
「よかった…」
智花は顔を綻ばせながらそう言うと、“いただきます”と自分の弁当を食べ始めた。