小話帳
君じゃなきゃだめなんだ
私は、この忍務のまとめ役を頼まれていた。私はあの中で一番強い。
それは誇りで枷だった
裏切り者では、彼のとなりにいることは許されない
「やめにしよう、__」
「…何故だッ」
「私はあの6忍の中で一番強い。お前が勝つことは到底不可能」
「んなこと、やってみなきゃ」
「わかりきってるから忠告をしているんだ」
「…ッ」
ああ、私は今真顔でいられていますか
忍務に私情は持ち込みたくなかったのに
「私は、ここで消えさせてもらう」
「?!」
「他の五人も、今頃消えたはずだ」
「そんなの、わからな」
「わかるんだ」
目を閉じて胸元をつかむ。
だって彼女らにも思いびとがいたのだ。
きっと、彼女らは…
「わかるんだよ」
目を開けて月を見る。そして、胸元に忍ばせておいた包みを出す
「それ、は」
「毒だ。私は、消えさせてもらう」
待て!!と悲痛な声が聞こえたが、私は口に毒をいれた。
「!!う、があ!」
血をはき後ろに倒れる。さよなら、愛しき人よ
―君じゃなきゃだめなんだ―
(閉じる直前の両の瞳から、堪えきれぬ情がこぼれるほど)