小話帳
弱さを必死に隠してた
伸ばした手は届かずに、彼女は倒れる。
最後の最後まで頼ることを知らない人だった。
口端から流れる血、流れる涙。
ああ、どうして俺は彼女を、救えぬ
強く泣き叫ぶ。ああ、起きてくれ。俺はまだ君に何も伝えてない
会っても口喧嘩にばかりなるような関係。それが続くとばかり思っていたけれど
ぬくもりを消した体はもう動かない
―弱さを必死に隠してた―
(それを近くで支えたかったはずなのに)
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ばか正直な武士。
プライドが高い彼女。
彼女から唯一思いを伝えぬ話