小話帳











「起きてんのー?寝てんのー?」










おちゃらけた声にもまったく反応をしない。多少苛立ちを含んだ声で彼は私の肩に手をかけた












「体調悪いの?起きて何か言ってくれても良いんじゃない?」











ぐっとこめられた手に反応できず私は起こされた。見られたくなかったのに











「…、泣いてるの」

「ち、がう」











驚くほど掠れた声。強がるのを許して











「こんな顔ぐちゃぐちゃにして泣いてないというの?」

「うるさ、い」










過呼吸が苦しくて、肩が多少上下する





彼はそんな私に気づいて頭を撫でた











「何か言ってくれれば良いのに」













言えるわけがないじゃない











「一人で泣くなんてバカだなあ」











ああ、貴方は10人中の8人に入るのね












貴方が告白を受けて、他に好きなひとがいるというのを聞いてしまって、この世の終わりみたいに泣く私はやはり貴方にとってバカなのですか








貴方の思い人が他にいると知りながら、気持ちを打ち明ければ楽になるのですか









せめて、貴方のとなりで笑う子ができても純粋に応援ができるように、今は泣かせて











「…ッ、うぅ、えぅっ…ぐ…」

「泣きかた可愛くない…」

「うる、さ…い…えぐ…」











頭のなかに幸せそうな貴方の顔と、隣で笑う見知らぬ子を想像してまた泣いた














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慰めネタ
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