小話帳











「お、もい」

「おお、それはすまなかった」





顔が隠れそうなくらい積み上げられたノート。あ、なんか悪いことしたなあ。





悪いと思いつつノートをひょいと受け取る。







「じゃ。」

「待てい」







そのまま即帰ろうとした奴を引き留めると、足は止まったがこっちは向かない







「、私さ、なんかしたか?」

「…え」

「私のこと、避けている」

「…」

「別にいいんだけど、そこまであからさまだと傷つくなあ?」

「……あなたは…っ」

「?」





拳を強く握ってうつむいた彼女。え、そんなに感情がたかまるくらい嫌いなのか





「…、**?」

「…私ばっか、全部覚えてて…っ、なんで、なんで…っ」

「?」






なんの、話だ









『桜まう空の下で、僕は君と出会い僕は僕に恋をする



 まるでそれは奇跡で偶然で、でも必然』







記憶の中の誰かが私に語りかける。






何を、伝えようと?








いや、今は目の前の状況だ






「**-?こっちむ…」

「っ!」





肩をつかみ振り返らせると、彼女はその瞳に涙をためていた








そして振り切り走り出す








今の私は、私という存在で彼女をどれほど傷つけていたのかはしらない











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