小話帳
君は本当に
「あーっひゃひゃひゃひゃ、ははははは、あー、はははひひひ」
こいつは本当にかわいくないと思う。
顔だって並みだし、笑い声は汚いし、恥じらいはないし、繕うことを知らない。
「お前は本当に可愛くないね」
「女に向かって失礼だぞばか」
口調だって男らしいし、力は強いしバカだし。でも
「おいこら!!!あたしのからあげくったの誰だ!!」
「さっき早弁したの忘れたの?ばかだなあ」
繕わないその笑顔も、バカみたいにはしゃぐその声も、全部全部、愛しく思う。
…でもやっぱり、僕の好きなひとは可愛くない
―君は本当に―
(「可愛くないなあ」)
(「おいそれ二回目」)
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でもそんな彼女が誰よりも好きだよって話
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