parallel
 


さて、今日は何処の位置に立とう。


私がバスに乗るときにはもうバスの座席はいっぱいで、立っている人も結構いる。

だから乗り込むときには必ず立つ位置を決めなくてはならない。


……、彼の隣空いてる。

こんな隣に立てるチャンスなんて滅多になくて、だからなんだろう。

嬉しくて堪らない。



バスの戸がプシューと閉まる音が聞こえる。

動き始める前に手すりに掴まって、私は立ち位置まで行こうとした。


ぐらりと揺れるバス。



「うわっ」



突然そんな声が聞こえてきたかと思うと、私も何かに押し出されて。

目の前に立っていた人に勢いよくぶつかる。


< 8 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop