parallel
さて、今日は何処の位置に立とう。
私がバスに乗るときにはもうバスの座席はいっぱいで、立っている人も結構いる。
だから乗り込むときには必ず立つ位置を決めなくてはならない。
……、彼の隣空いてる。
こんな隣に立てるチャンスなんて滅多になくて、だからなんだろう。
嬉しくて堪らない。
バスの戸がプシューと閉まる音が聞こえる。
動き始める前に手すりに掴まって、私は立ち位置まで行こうとした。
ぐらりと揺れるバス。
「うわっ」
突然そんな声が聞こえてきたかと思うと、私も何かに押し出されて。
目の前に立っていた人に勢いよくぶつかる。