色彩
明るくて、クラスでも人気者で、勉強は出来なかったけど、運動神経は良くて、リレーの選手。


そしてなにより、ピアノが上手かったお姉ちゃん。




『美都ちゃんのお姉さん、ピアノ上手いよね』

なんて言われる度、私は笑顔になった。



―…いつかはお姉ちゃんと二人で連弾曲を弾く。

そんな淡い夢を抱いたりした。




小学校低学年までは、こんなお姉ちゃんが大好きだった。

…お姉ちゃんのようになれるっていう自分の中の期待もあったし、努力に勝るモノは無いと思ってたから。



いつからだろう。

能力の『差』を感じたのは。


三年かけて終わらせたバイエルを、お姉ちゃんは二年半で終わらせたから?

二人の部屋に飾ってあった賞状が、全部お姉ちゃんのだと気付いた時?
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