同じ空で逢えるまで
 屋上を後にした私は授業の準備のために早歩きで教室に戻った。

 だから本当に生徒会長が授業をサボったのかはわからない。

 どうでもいい。




 …そのはずだった。

 その時、私は気づいていなかったのだ。


 男なのに生徒会長を拒絶しなかったこと。


 「お前」と呼ばれても腹が立たなかったこと。



 私は―――

 心のどこかで【石木 零】という1人の男を受け入れていたのだろうか。



 あぁ、それともう一つ。

 屋上にメロンパンを忘れてきたことにも気づいていなかった。

 午後の授業をお腹の虫と戦ったのだった。
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