ペテンな彼氏
 ―「あんた、誰だっけ?」

 ―「良い子ぶってんじゃねぇぞ」

 ―「お父さんじゃなくてあんたが死ねばー…」




 私はハッとする。

 手にはいっぱい、汗をかいていた。



 …こういう夢は、良く見る。

 全部、お母さんに投げかけられた言葉だ。

 お父さんが死ぬ前は、絶対こんな事言わなかったのに。

 
 周りには、一つのソファーで塁さんが顔に雑誌を載せて寝ていて、夏杞さんがうつぶせになって寝ている。その横には恭真さんが一人ソファーを陣取って寝ていた。

 これでようやく、ここが現実だという事を感じた。
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