ペテンな彼氏
 朝、布団など無しに冷たい床で寝ていた俺。

 そして朝食の為に母親を起こそうとすると必ず隣に男が裸のまま寝ていた事。

 そしてその〝男〟は毎日顔が違った事。



 「性虐待ってやつか?今考えると笑えるに限るな」

 俺が笑い飛ばしても弓亜は笑わない。

 「食べ物はあったからまぁ全然平気だったんだ」

 そして〝保育園〟やら〝幼稚園〟やらを知らずに俺は育った。

 テレビなんて存在は知らなかった。

 言葉なんてのは、そこらへんに落ちてた辞書で習った。

 

 ・・・どうやら離婚した父親のものらしい。

 忘れていったみたいで、そこらへんに投げ捨ててあった。
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