バケバケ2
「僕の祖父が持ってきたもの…あれは鏡ですよ。」
俺が暑そうにしている中、時雨は暑さをまるで感じさせずに涼しい顔をしていた。
「またその話かよ、別にお前のじーさんがなに持ってきても興味ねーよ。」
「そうですかね?君は必ず気に入ると思うんですが。」
「はぁ?」
「あの鏡は姉妹鏡というものです。本来は2枚で一つの鏡ですが、2枚揃うと災いが起こるなんて言われているんです。」
「なるほどなーそれで俺の家にその災いを押し付けにきたのか。」
「違いますよ。あなたのお父さんがその鏡が欲しい言ったから持ってきたんですよ。」
「ふーん。」
実の父だが本当に何考えているのかわからない。
災いなんて別に信じないが、そんな鏡をわざわざ買おうとするなんて。
「鏡に魅入られちゃったんじゃないですかね?」
時雨は楽しそうに笑う。
「魅入られる?」
「あの鏡は人を誘惑しますから。」