バケバケ2
「そんな…」
応接間には変わり果てた姿の二人がいた。
白い壁には無数の赤い点が散らばっている。
「父さん、母さん…」
「おい、ここの家ガキがいたなんてきいてねーぞ。」
ふいに声がした。
父と母に気を取られて気がつかなかったが、部屋の奥に5人の男がいた。
みな黒い服に身を包んでいる。
奥にいる長身にオールバックの男が、応接間のテーブルの上に手を伸ばし、金色の鏡を手に取った。
「ガキがいようが関係ねぇ。俺はこれさえ手に入ればいいんだ。そのガキはお前らで何とかしておけ…」
そう言うとその男は俺の横を通り過ぎ、応接間を出て行った。
残りの四人の男たちが俺にゆっくりと近づいてくる。
みな手に刃物や金属バットなどの武器を持っている。
「お前らが父さんと母さんを…」
「だったらどうした?安心しろお前もすぐにお父さんとお母さんのところへ送ってやる。」
ナイフの切っ先が光る。
それは真っ直ぐに俺の方へ向いていた。
悔しい。
悔しい…
俺に力があれば…父さんと母さんの仇を打てるくらいの…こいつらを殺せるくらいの力があれば…
「あるわよ。」