バケバケ2
「…え?」
突然した女の声。
この部屋に母さんを除いて女はいないはずなのに…どこから?
「ここよ。」
「!」
俺の目の前に背を向けて少女が立っていた。
金色の髪が揺れる。
少女が手をかざすと、銀色の鏡が現れた。
「しっかりと写したわよ。あなたたちの殺意。」
そしてその鏡から男たちそっくりの人間が次々と現れる。
それらはみな一斉に男たちに襲いかかった。
気がつくと、男たちはみな応接間に倒れていた。
鏡から現れた人間もいつの間にか消えている。
少女はゆっくりと振り返る。
「大丈夫?」
透き通るような真っ白な手が俺の頬を撫でる。
今までで見たどんな人よりも綺麗だった。
「よかった、ハイネに怪我がなくて。」
「…だ、誰?」
「私は鏡。あなたが愛してくれたあの鏡よ。」
少女は俺の手を握った。
「私はエレジー。よろしくね、ハイネ。」
それが、俺とエレジーの最初の出会いだった。