バケバケ2
箱の中に入るのは何度目だろう。
燕さんはどうして私をバケバコの中に…?
そもそもどうしてバケバコを持っていたんだろう。
入るたびに中の世界が変わるバケバコだが、今回は見覚えのある場所だった。
「ここは…私の家?」
間違いない。
私は自分の家の廊下に立っていた。
目の前には扉がある。
この部屋はシイが居候していた時に使っていた部屋だ。
私はドアノブに手を掛け、ドアを開けた。
目の前に広がっていたのはやっぱり、見慣れたシイの部屋だった。
いつ見てもきれいに片付いているシイの部屋。
きれいというよりは極端に物が少ないという方が正しいだろう。
部屋には小さな本棚と机、そしてベッドがある。
ベッドの中で、誰かが寝ていた。
そっとベッドに近づき、中を覗く。
「…シイ?」
ベッドの中でシイが眠っていた。
名前を呼ばれたシイは目を覚まし、私の方を見る。
「…洋子?」
「シイ…!よかった、こんなところにいたんだね。一緒に帰ろう。」