バケバケ2






箱の中に入るのは何度目だろう。


燕さんはどうして私をバケバコの中に…?


そもそもどうしてバケバコを持っていたんだろう。







入るたびに中の世界が変わるバケバコだが、今回は見覚えのある場所だった。


「ここは…私の家?」


間違いない。


私は自分の家の廊下に立っていた。


目の前には扉がある。


この部屋はシイが居候していた時に使っていた部屋だ。


私はドアノブに手を掛け、ドアを開けた。






目の前に広がっていたのはやっぱり、見慣れたシイの部屋だった。


いつ見てもきれいに片付いているシイの部屋。


きれいというよりは極端に物が少ないという方が正しいだろう。


部屋には小さな本棚と机、そしてベッドがある。


ベッドの中で、誰かが寝ていた。


そっとベッドに近づき、中を覗く。





「…シイ?」


ベッドの中でシイが眠っていた。


名前を呼ばれたシイは目を覚まし、私の方を見る。


「…洋子?」


「シイ…!よかった、こんなところにいたんだね。一緒に帰ろう。」






< 118 / 277 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop