バケバケ2
「アイドルはまた別なの!」
真央は言い切った。
シイはまだクラスメイトに囲まれていた。
「…洋子、助けて。」
…何か言ってる。
「今転校生、洋子のこと呼んでなかった?」
真央が聞く。
「気のせいだよ、帰ろ。」
私はシイを置いて、瑞穂たちと教室を出た。
「シイなんて変わった名前だよね。」
莉子が楽しそうに言った。
「そうだね。」
私はそれに当たり障りない返事をする。
シイと知り合いだってことは言わないでおこう。
別に隠す必要はないが、何となく知り合いだと言い出しづらくなってしまった。
それにしても…
どうやって高校入ったんだろう。
シイは少し前まで人間ですらなかった。
当然、身分を証明するようなものだってないし…
そんなことを考えている間に駅についた。
「じゃあね!」
瑞穂は自転車、梨子と真央は反対方向の電車に乗る。
三人と別れ一人電車に乗りながら、ふと心配になった。
シイ、一人で電車乗れるんだろうか…