バケバケ2
「本物は俺だ…!偽物は消えろ!」
シイの1人が近くにいたシイに殴りかかった。
殴られたシイは壁際に飛ばされ、壁に背中を打ちその場に崩れ落ちた。
それを合図に他のシイも次々に暴れ出してしまった。
さっきのカナリアっていう女の子が言ってたのはこういうことだったの…?
このままじゃ、本物のシイも…
とにかく、本物のシイを見つけなきゃ…
部屋にいるシイを一人ずつ見る。
どれも見た目は全く同じだ。
どれが本物なの…?
思い出すんだ。
シイの特徴、仕草、性格…
「洋子、危ない!」
「?」
シイの1人が私の腕を引っ張る。
私が元いた場所に、椅子が飛んできた。
たくさんいるシイの誰かが投げたんだろう。
このシイが引っ張ってくれなきゃ私に椅子が当たっていた。
そうだ、簡単なことじゃないか。
シイは必ず私を助けてくれた。
椅子から私を庇ったシイが私の体を強く抱きしめる。
「よかった、洋子が無事で…」
「わかったよ、本物のシイが…」
確信していた。
「本物は…」