バケバケ2




「まぁ、仕事だし買い取ってやるけど。…いくらで買い取って欲しいんだ?」


男はハイネの言葉に表情を輝かせる。


「買い取ってくれるんですか?いくらでも大丈夫です!」


「なんだそりゃ、タダでもいいのか?」


「もちろん!!」


「……。」







こうして、ハイネはタダで水晶玉を受け取った。


男は嬉しそうに店から出て行った。


ハイネは自室に戻ると椅子に深く腰掛け、大きなため息をついた。


「なぁ、エレジー…どう思う?」


「どう思うって…水晶玉のことかしら?」


「うん。」


「何かあるでしょうね。」


「だよなー。」


項垂れるハイネ。


「そもそもタダでもらってくれっておかしいだろ。絶対何かあるわー。」


ハイネは箱から水晶玉を取り出した。


「運命を共にする人を映すって言ってたけど、何にも映らねーし。ただのガラス玉だし。」


「いいじゃない、どうせタダなんでしょ?」


「まぁな。本当にただのガラス玉ならいいんだけど。」



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