バケバケ2




俺は適当に酒を頼み、さきと名乗った女に向き直る。


「さきちゃんだっけ?」


さきは「うん。」と、頷く。


「さきちゃんってさー、いつ頃からこの店で働いてんの?」


「え?えーと、オープンと同時にだからー…半年前くらい?」


「ふーん。」


やっぱりか。


半年前…ならあいつが絡んでる可能性は高い。


あいつは半年前、トキに従うふりをしながら何か企んでいた。


そしてまたバケバコを使って何かをする気なんだ。


そもそもバケバコの開発の話を俺に持ちかけてきたのはあいつだった。


トキはバケバコを使って洋子の祖父を生き返らせようとしていた。


死者の蘇生に必要なのは、完成されたバケバコと、肉親の身体だった。


だからトキは洋子を狙っていた。





だが、あいつは?





あいつの目的はなんなんだ…?


あいつも洋子を狙っている。


洋子の祖父を生き返らせようとしてるのか…いや、シイの話によると、あいつが洋子を狙い出したのはもうずっと前の話。


その頃は洋子の祖父は生きていたはずだ。



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