バケバケ2
俺はゆっくりとさきの足に指を滑らす。
「さきちゃんさー、彼氏とかいるの?」
「いないよー?」
さきは気にしてないふりをしているが、間違いなく足を気にしていた。
「じゃあさ、俺と付き合おうよ。」
「…おい、灰音…なにして…」
となりのあやのと飲みながら小声で俺に話しかける燕。
「えー?どうしよっかなー?」
悩むふりをするさき。
耳についているイヤホンからは鼓膜を突き破る勢いのエレジーの抗議の声が聞こえているが気にしないことにする。
「じゃあさ、さきちゃん。」
「なぁに?」
「どこか楽しいとこ一緒に行こうよ。」
さきの足に忍ばせた手を、さきの腰に回す。
耳についているイヤホンからはシイの避難の声が殺到しているがこれも気にしないことにする。
「灰音さん?お店の説明聞いたでしょ?ここではそういうの禁止なの。」
笑顔のまま、俺の手をどけるさき。
「いいじゃん、決まりなんてさ。」