バケバケ2
さらにしつこくさきの身体に触ると、さきは俺の手を払い、笑顔のまま言った。
「もう、お兄さん呼ぶから。」
さきは席をたち、くるりと俺に背を向けて店の奥へと消えていく。
それを見ていた燕の隣にいたあやのも席をたち、さきの後を追うように店の奥に消えていった。
「…灰音、これ…大丈夫なのか?」
燕が不安気に訊く。
「大丈夫だって。作戦通りだから。」
しばらくして、さきとあやのは戻ってきた。
背後に複数の黒スーツの男達を連れて。
「あいつ。違反行為したから連れてって。」
さきは俺の方を指差す。
男達は頷くと、俺の腕を掴んで立たせた。
「奥の部屋まで来てもらおうか。」
「あやのさん、こっちの男はどうしますか?」
男の1人が燕を指差す。
「ついでだから、連れて行っていいよ。」
あやのは笑顔を崩すことなくそう言った。