バケバケ2




「いつもそう。あの頃から何にも変わらないよね、エレジーは。」


男の隣にいた背の低い少女はゆっくりとエレジーに歩みよる。


こいつは…この前のにゃんだーランドで俺を使って洋子を危険な目に合わせたやつだ…。


名前はたしか…カナリア…


「エレジー、知ってるでしょ?灰音を助けるにはもつ一つしか方法は残っていないんだよ。」


「……。」







「負の感情を具現化しなよ。」







カナリアは無表情のまま続ける。


「負の感情を具現化すれば、ものすごい威力になる。灰音を守りたいなら使うしかない。」


カナリアはエレジーの目の前に立ち、エレジーの顔を上目遣いに覗き込む。


「わかってるよね。」


「……。」


「嫌いでしょ、私のこと。憎いでしょ?」


エレジーは黙ったまま俯く。


「私は…」


「まぁ、いいや。好きにしなよ。」


カナリアはくるりと俺たちに背を向け、男の方へ戻る。


「アオギリ、いいよ。そいつ殺しちゃおう。」









< 160 / 277 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop