バケバケ2
「いつもそう。あの頃から何にも変わらないよね、エレジーは。」
男の隣にいた背の低い少女はゆっくりとエレジーに歩みよる。
こいつは…この前のにゃんだーランドで俺を使って洋子を危険な目に合わせたやつだ…。
名前はたしか…カナリア…
「エレジー、知ってるでしょ?灰音を助けるにはもつ一つしか方法は残っていないんだよ。」
「……。」
「負の感情を具現化しなよ。」
カナリアは無表情のまま続ける。
「負の感情を具現化すれば、ものすごい威力になる。灰音を守りたいなら使うしかない。」
カナリアはエレジーの目の前に立ち、エレジーの顔を上目遣いに覗き込む。
「わかってるよね。」
「……。」
「嫌いでしょ、私のこと。憎いでしょ?」
エレジーは黙ったまま俯く。
「私は…」
「まぁ、いいや。好きにしなよ。」
カナリアはくるりと俺たちに背を向け、男の方へ戻る。
「アオギリ、いいよ。そいつ殺しちゃおう。」