バケバケ2
同じ強い気持ちを持つある程度の親交があるバケバケを殺すこと。
灰音はその条件に当てはまるバケバケはエレジーしかいないと知っていた。
だからシイにはこのことを教えなかったようだ。
「一週間前、俺や燕は死ぬところだった。恐らくエレジーは俺たちを守ろうとしたはずだ。」
エレジーの鏡の力には灰音にしか話していない秘密があった。
その秘密とは、エレジーの感情を具現化する能力の力の強さは、具現化する感情が負に傾けば傾くほど強くなるというものだった。
しかしこの力を使えば、使う度にエレジーの感情はなくなってしまう。
だから灰音はエレジーにその力を使わせたことはなかった。
「あいつは使ったんだよ、俺を守るために…そして、自我を失いそうになった自分を殺してくれとシイに頼んだんだ。」
灰音は病室の隅にある小さなテーブルの上にあった小さな手鏡を私に見せた。
「シイがエレジーを刺した短剣は、あの後この手鏡に変わったんだ。」