バケバケ2
「綺麗な鏡だね。」
「うん。」
灰音は手鏡をテーブルに戻す。
「わかってるんだよ、シイは悪くない。でもまだ…簡単には許せなくて…わかってるのに。エレジーを守れなかったのは俺なのに…」
灰音は唇を噛み締める。
「バケバケは人の心から生まれるんだ。だからエレジーは死んでなんかいない。いつかまた必ず会える。…だからシイに会ったら伝えてくれ。俺はお前を恨んでいないって。」
病室を出た私は、家に戻ることにした。
どうすればいいのか分からない。
最後のバケバコの行方も灰音は知らないと言っていた。
私はどうしたらいいんだろう。
シイにも、灰音にも何もしてあげられない。
何の言葉も掛けてあげられなかった。
どうしてこういう時に私は何も出来ないんだろう。