バケバケ2
「俺ちょっと店の方行ってくる。」
灰音は部屋を出ていった。
部屋には俺とエレジーだけが残された。
「いいのか?行かなくて。」
「いいわよぅ、私が行ったところで人間には見えないもの。」
「そうだな。」
バケバケは普通の人間には見えない。
自分の持ち物がバケバケになった人間、または洋子のように特別力が強い人間にしか見えない。
「あ、でも…」
エレジーはコーヒーを飲みながら呟いた。
「私、あの客と目が合った気がする。」
「エレジーが見えてたってことか?」
「わかんないわぁ、気のせいかもしれない。」
エレジーはまたコーヒーを一口飲む。
ここで俺はずっと気になっていたことを聞いてみた。
「この店一体何売ってるんだ?」
「何って…アンティークショップだから……骨董品とか?」
「ふーん。」
「でも普通の骨董品じゃなくて…曰く付きのモノが多いわねぇ。」
「曰く付き…か。」