バケバケ2
翌日。
朝、学校に着いた私が教室に向かっていると誰かが前方で私に手を振っていた。
明るい茶髪の笑顔で私に手を振る男の人…。
こんな爽やかな人は私の友人にいないはず。
後ろの誰かに手を振っているのだと思い、後ろを見るが誰もいない。
…私?
男の人はこちらに向かって歩いて来た。
「坂本さん!」
「え?」
制服をモデルのように着こなし、笑顔の爽やかな長身の男の人…本当に知らない人だ。
「あ、そうか。坂本さんは俺のことまだ認識してないんだね。」
男の人は戸惑う私に手を伸ばし、私の手を握った。
「俺は早月隼人だよ、よろしく。」
「は、はい…」
この人が早月くんか。
真央が騒ぐ訳だ。
「嬉しいな、坂本さんと話せるなんて。」
「え?」
「1年生のときからずっと気になってたんだよ。ほら、坂本さん帰り道に野良猫にエサあげてたでしょ?それ見てて…俺も動物好きだからさ。」
「野良猫…あぁ。」
そんなこともあった気がする。
「今度さ、どこか一緒に出かけない?」
「え?えっと…」
「あ、ごめんね?急に誘ったりしたら迷惑だよね?坂本さん俺のことよく知らないだろうし…」
そう言うと早月くんは少し泣きそうな顔をする。
なんだか犬みたいな人だ。
「あの、いいですよ。」
早月くんがあまりに落ち込むので、慌てて私はそう言った。