バケバケ2




まぁ、灰音が経営してるんだ。


まともな店ではないと思っていたが…


「私、この店の商品だったのよ。」


独り言のようにエレジーが言った。


そして懐かしそうに続ける。


「商品だった私をハイネが愛してくれたの。だから、私はバケバケになれた。」


「そっか。」


バケバケは人間の心から生まれる。


俺もそうだった。


「エレジー、ちょっと店覗いてきてもいいか?」


「店を?…いいわよ。」


少し興味があった。


灰音の仕事に。






エレジーに続いて応接間を出る。


入ってきた玄関とは逆方向に廊下を進む。


突き当たりに、少し大きめの扉があり、その中に入った。






事務机が一つだけポツンとある、寂しい部屋だった。


机の上にいくつもの名前が並んだリストと、電卓、壺や皿などの写真が置いてある。


写真の中には何に使うかわからない謎のものもあった。


これも商品なのだろうか。




< 19 / 277 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop