バケバケ2
まぁ、灰音が経営してるんだ。
まともな店ではないと思っていたが…
「私、この店の商品だったのよ。」
独り言のようにエレジーが言った。
そして懐かしそうに続ける。
「商品だった私をハイネが愛してくれたの。だから、私はバケバケになれた。」
「そっか。」
バケバケは人間の心から生まれる。
俺もそうだった。
「エレジー、ちょっと店覗いてきてもいいか?」
「店を?…いいわよ。」
少し興味があった。
灰音の仕事に。
エレジーに続いて応接間を出る。
入ってきた玄関とは逆方向に廊下を進む。
突き当たりに、少し大きめの扉があり、その中に入った。
事務机が一つだけポツンとある、寂しい部屋だった。
机の上にいくつもの名前が並んだリストと、電卓、壺や皿などの写真が置いてある。
写真の中には何に使うかわからない謎のものもあった。
これも商品なのだろうか。