バケバケ2




早月くんに撫でられ、猫は気持ち良さそうに目を細めた。


「早月くん、動物好きなんだね。」


「うん。」


「家でも何か飼ってるの?」


そう尋ねると、早月くんは表情を少し曇らせた。


「ううん、俺の家は親が厳しくてさ。」


一瞬だけ、早月くんの顔から笑顔が消えた気がした。


でも、すぐに早月くんはいつもの笑顔に戻った。


「次、行こっか。」







その後も、早月くんと園内を見て回った。


気がつくと、閉園の時間が近づいていた。


「坂本さん、近くに公園があるんだけど、そこに寄って行っていいかな?」


「いいよ。」


私たちはゲートから出て、近くの公園まで来た。


ベンチに2人で腰掛ける。


公園の外に、動物園から出てきた人が駅に向かって歩いて行くのが見える。







「今日はありがとう。」





< 195 / 277 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop