バケバケ2
早月くんに撫でられ、猫は気持ち良さそうに目を細めた。
「早月くん、動物好きなんだね。」
「うん。」
「家でも何か飼ってるの?」
そう尋ねると、早月くんは表情を少し曇らせた。
「ううん、俺の家は親が厳しくてさ。」
一瞬だけ、早月くんの顔から笑顔が消えた気がした。
でも、すぐに早月くんはいつもの笑顔に戻った。
「次、行こっか。」
その後も、早月くんと園内を見て回った。
気がつくと、閉園の時間が近づいていた。
「坂本さん、近くに公園があるんだけど、そこに寄って行っていいかな?」
「いいよ。」
私たちはゲートから出て、近くの公園まで来た。
ベンチに2人で腰掛ける。
公園の外に、動物園から出てきた人が駅に向かって歩いて行くのが見える。
「今日はありがとう。」