バケバケ2
「こっちから店覗けるわよ。」
エレジーが手招きした。
入ってきた扉のちょうど真正面にカーテンがあり、エレジーはそれを少し捲った。
俺はカーテンの隙間から中を覗いた。
普通の店だ。
並んでいるものは怪しいが。
店の中央に灰音がいる。
誰かと話しているようだ。
「だーかーらー…何しに来たんだお前。」
「……探し物っス。」
灰音の陰になって話している人物の顔は見えない。
男のようだが声も若いし慎重も灰音よりだいぶ低い。
おそらく中学生くらいだろう。
手に布に包まれた細長い何かを握っていた。
「何だよ、探し物って。ここにあるのか?」
「いや……たぶんないっス。」
「ねーのかよ!」
どうやらただの客ではないらしい。
その時少年が灰音の陰から顔を出した。
「…やや…灰音先パイ、カーテンの向こうに誰かいるっスね…。」