バケバケ2




2人はベンチに腰掛ける。






会話は聞こえないが、早月が洋子に顔を近づける。


…来なきゃよかった。


やっぱり帰ろう。


そう思い2人に背を向けた時だった。








「僕は強くならなくちゃ…。」








「⁉︎」






振り返ると、2人の前にあの時のバケバケがいた。


バケバケが洋子に手を伸ばす。


しまった…






俺は洋子の元に走るが間に合わない。


洋子の体にバケバケの手が触れる。


その瞬間、洋子の体が地面に落ちた。






間に合わなかった…


「洋子ちゃん⁈洋子ちゃん‼︎」


早月の声が響く。


バケバケがゆっくりと2人に近づく。


「お兄ちゃん、僕…やったよ!あとはこのお姉ちゃんを殺せば、僕たちは強くなれる!」


バケバケが洋子に飛びかかる。


「させるか!」


俺は飛び出し、バケバケの腕を振り払う。


体が軽い…前より全然動ける。


エレジーのおかげなのか…俺は完全にバケバケに戻ったようだ。






「桜木くん…?」


「早月、洋子連れて下がれ。」


「桜木くん、君は…」


「いいから早く!」


早月は頷くと、洋子を抱きかかえ公園から去った。






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