バケバケ2
翌日。
「お邪魔します。」
私はお兄ちゃんの住むアパートに来ていた。
お兄ちゃんの部屋、初めて入る…。
「お邪魔しますなんて、洋子の部屋だと思ってくつろいでいいんですよ。」
お兄ちゃんの部屋は綺麗というより物が極端に少なく、何もない部屋に近かった。
生活に必要な最低限のものしか置いていない感じだ。
「今お茶を出しますね。」
「ありがとう!」
私はソファーに座った。
お兄ちゃんって何か趣味とかあるんだろうか。
この部屋には本当に何もない。
家具は机とソファーとベッド。
それから教科書だけが入った本棚。
テレビもないし、ゴミ箱の中は何も入っていない。
モデルルームのような生活感のない部屋。
「同じ研究室の友人から貰ったんです。」
そう言ってお兄ちゃんは私に真っ白なカップに入った紅茶を出した。
桃のいい香りがする。