バケバケ2
1.鼓動
1.鼓動
ようやくこの時が来た。
妹はベッドで眠っている。
ずっと…この時を待っていた。
妹が生まれた日、僕はずっとこの子を守ろうと思った。
彼女にはあらゆるものを惹きつける、不思議な魅力がある。
そして彼女は、僕にはない力を持っていた。
10年前のあの日…洋子と僕の父が亡くなる少し前、僕は人間でなくなった。
僕の世話係としてそばにいた少女、彼女の死により、僕はバケバケの力を手に入れた。
そして、妹を手に入れようとした。
あの日が全ての始まりで、あの日が僕という人間の終わりだった。
長かった。
最初は普通の愛情だったんだ。
妹が可愛くて、兄として妹を愛していた。
ところがそれはあの事件からそれは歪んでしまった。
あの頃の僕はバケバケと、それに近い力を持つ妹に憧れていた。
バケバケになりたいと思っていた。
そしてバケバケになることを選んだ僕は大きなものを失うことになる。