バケバケ2




✳︎✳︎✳︎






まだ、あの音は消えない。


もうこれで最後だと、洋子を抱き締めたあの時、洋子の心臓の音が聞こえた。


正直、洋子のなのか俺のなのかは分からないけど。







もうすぐ約束の10年だ。


洋子はおそらく自宅にいるはず。


俺は洋子の家の前まで来ていた。


まだあいつの姿はない。


自宅には母親もいるし、下手にあいつも洋子に手出しはできないはずだ。









エレジーの命と引き換えに手に入れた力…感情を自分の体を粒子化することで武器として具現化する。


ただしこの力を使う時に全身に激痛が走る。


この痛みはきっと俺への罰だ。







時雨は確実に洋子を殺そうとするだろう。


止めるんだ。


今の俺はあの時の無力な俺とは違う。






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