バケバケ2
「そんでこっちはエレジー。俺の彼女。鏡のバケバケだよ。」
少年はエレジーを見つめた。
「灰音先パイの彼女……さすがっス。…美人っス。」
エレジーは突然攻撃されむくれていたが、今は褒められてまんざらでもなさそうだ。
「シイ、エレジー。こいつは敷島涼(しきしまりょう)。俺の後輩。」
「…どうもっス。」
敷島が頭を下げた。
敷島は声や雰囲気は中学生のようだが大人びた顔をしていた。
アッシュカラーの肩までの髪に、切れ長の目、白い肌、目の下にはクマが出来ている。
身長は俺より少し低いくらいだが、異常なまでに細い。
灰音も細い方だが敷島の隣に並ぶと普通くらいに見える。
一言で外見について述べるなら『心配』だ。
ずいぶん顔色が悪いがちゃんと食べてるんだろうか。
「心配するな。こいつの顔色は昔からだ。」
俺の表情から意図を読んだのか灰音がつけ加えた。
昔からなのか。
「敷島は、洋子と同じ生まれつき力が強くてバケバケが見える人間だ。そのせいで苦労してきたからバケバケ見るとどうしても切りかかっちゃうんだよ。」