バケバケ2
そうか…
俺が斬ったのは、記憶だったのか。
「そういえば、シイ。さっきの女の人誰なんだ?」
俺は、灰音の中のエレジーの記憶を斬ってしまったんだ。
「シイ、大丈夫か?」
灰音が俺の顔を覗き込む。
「大丈夫だ、行こう。」
俺は応接間のドアを開けて外に出た。
振り返ると、灰音は応接間のソファーの方をじっと見つめていた。
「ごめん、シイ。先行っててくれ。なんでだかわからないけど、もう少しだけここにいたいんだ。」
「わかった。」
灰音を残し、応接間を出る。
俺は、灰音を救えたのだろうか。
わからない。
でも、俺は前に進まなきゃ。