バケバケ2
「そうだったのか。」
敷島のあの目…
本気だった。
よほど過去に苦労してきたんだろう。
俺も洋子を見てきたからよくわかる。
力の強い人間はバケバケに狙われやすい。
その人間を倒し、膨大な力を手に入れるため、バケバケは力の強い人間に近づく。
もっともそういった行動に走るのは力の弱いバケバケが多く、返り討ちになることが多いのだが。
「それで敷島、用件は?」
灰音が思い出して言った。
敷島は黙って考える仕草をする。
「…用件?…敷島、ここに何しに来たんスかね。」
「知らねーよ、さっきは探し物とか言ってたけど?」
「…探し物?…探し物…」
敷島はぶつぶつと同じ単語を繰り返し呟く。
そしてポンと手を打った。
「思い出したっス。敷島は…姫を探してるっス。」
「……」
「……」
「……」
3人とも沈黙した。
…姫?